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【活用事例】古民家カフェ YUSHICAFE

|文・写真・取材:地元カンパニー / 長野県出身

空き家調査隊の中野です。

今回は、長野県内に多くある古民家カフェの先駆けとも言える「YUSHICAFE(ユーシカフェ)」を取材!
一体どのようなカフェなのでしょうか?
早速お話を聞いてみましょう!
※本来YUSHICAFEは取材依頼をお断りされているのですが、今回取材者と長年の繋がりがあったため、特別に許可していただきました。


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YUSHICAFE
店主 高塚裕士さん


「YUSHICAFE」はどのような場所を改修したのでしょうか?


高塚さんこの家は、元々僕のおじいちゃんが住みながら営んでいた骨董品店でした。縁側にショーケースが置いてあり、お客様が興味を持つとそこから商品を手に取り、奥の部屋でお茶を頂きながら商談。骨董品に興味のないご近所さんも気軽に寄っては縁側に座り込み、そこへお茶となっ葉をおばあちゃんが運んで行く。それこそカフェのような場所だったんですね。27年前におじいちゃんが亡くなって、おばあちゃんも施設でお世話になり住む人がいなくなったこの家を約11年前に改装しカフェを開業しました。

祖父母の住居兼骨董品店を改修した。


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なぜ古民家をカフェにしようと思ったのですか?


高塚さんまだどこでカフェを始めるか模索していたころ、はちみつのことを調べに佐久を訪れました。宿泊先はおじいちゃんの空き家。寝ようと思って横になり、もしここでカフェを始めたらどうなるだろうって、なんとなく考えたら、急に頭の中をまるで映画を観ているかのように映像がもの凄いスピードで流れてきました。この先の全てが何の不安もなく考えることができました。「あぁ、僕はここでカフェをやるんだなぁ」とその瞬間感じ、自分の先祖が暮らしてきたこの土地で僕も物語を紡いでゆくということがとても自然に思えるようになりました。ですので、最初から古民家を探していたわけではなく、結果としておじいちゃんの古民家がカフェとなりました。

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空き家を改修するにあたって、どのような場面で苦労をしましたか?


高塚さんこの家と共にある物語や幼少期に過ごした思い出を、なるべく壊さないように加減して手を入れたところです。お客様に居心地よくいていただくには生活感が出てしまうといけないので、手を入れる部分には手を入れ、それ以外はなるべく原形をとどめておくようにしました。また、水回りや電気配線は想像していたより大がかりな工事になりました。

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望月の空き家事情はどのような状況なのでしょうか。


高塚さん空き家は多いのですが、貸したり売ったりすることのできない物件が多いです。例えば店舗住居併設型。商店街の空き物件もあるのですが、店は空いていても奥では住宅として普通に住んでいるので貸すことができない。もう誰も住むことがないような物件でも、遠く離れた家族のすべての同意が得られず、売買できないケースが多いです。


どのような人がお店の改修に携わったのでしょうか?


高塚さん沢山のまちの人に助けられました。最初、出来ることは極力自分でやろうと思って、ひとりで始めました。そうしたら、親戚のおじさんや近所の職人さんが、毎日入れ換わり立ち代わり見に来るんですよ。僕が作業していると「それはこうやるんだ、これはこう使うんだ、ちょっと貸してみろ。」と段々手伝ってくれるようになりました。そのうち立場が逆転、「お前は釘を買ってこい、一服するからお茶を用意しろ。」と、いつの間にか僕は雑用係に。手伝ってくれる人たちはみんなプロで、それぞれの仕事が本当にすごい。左官だったり大工だったり、皆、手に職がある人達なんですね。今では小さな改修工事でも、ちゃんと頭を下げて職人さんに頼むようにしています。仕上がりの美しさと丁寧な仕事。長持ちもするし結局は長い期間で考えると経済的でもあります。

近所の人に改修を手伝ってもらった。


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色んな人の手を借りて改修をしたとのことですが、自分の思い描いていたものと違うものになるということはなかったのでしょうか?


高塚さん違った部分は沢山ありましたし、意見の食い違いでケンカすることもありました。職人さんが頼みごとを放り投げて帰ってしまったこともありましたよ。「先程はすみませんでした。またよろしくお願いします!」って頭を下げに行くことも多々ありました(笑)。そうやって改修を通して少しずつ信頼関係を築いていったのかもしれません。このカフェを作る上で一番の誤算だったのがカウンターを作ったこと。僕はこのカフェにカウンターを作るつもりはなかったのですが、手伝いに来てくれた職人さんが「俺が1人で来て、あんな広いテーブルで黙ってコーヒー飲むだかい?」って言い出して、オープンの数週間前に急遽カウンターを作ることになったんです。職人さんが自分のための席を作っちゃった(笑)。今となっては、カウンターはこのカフェにはなくてはならないものになりました。本当にうれしい誤算!ですから、このカフェはみんなの意見が入り混じって形になったお店なんです。

街の人の意見がそのままお店の改修に反映されている。


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このお店をどのような存在にしていきたいと考えていますか?


高塚さん「まちのラウンジ」として地元の人・旅の人が行き交う場所や望月への案内窓口として機能してくれたらと思っています。また、歩いて楽しめるまちづくりをこのお店から始めていきたいです。まちの魅力って実際に歩いてみないと感じられないと思うので、望月のまち歩きマップを作って町内の店舗に置いてあります。駐車スペースを広めにとり、車をここに置いてまちへ歩いて行けるようにもしています。

商店街への案内窓口を担うカフェを目指している。


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カフェを拠点とした街の活性化に力をいれているとのことですが、効果はいかがでしょうか?


高塚さん少しずつ効果が出てきているように思います。ただ、商店街で拠点となるようなスポットがまだ少ないように感じます。若者に頑張ってもらいたい!ありがたいことに、望月への若い移住者は増えてきているのですが、農家になることが目的の人が多いですね。それはもちろん嬉しいことなのですが、飲食店や生活雑貨を取り扱うお店を商店街でやってくれるような若者が増えて欲しいという思いがあります。昼はランチ、夜は居酒屋をやって喫茶店としても機能します!という何でも1つで済むようなお店ではなく、蕎麦屋だったら蕎麦屋、喫茶店だったら喫茶店としてお互いがそれぞれの役割を果たして、個々が際立つような存在を増やしたい。今後、若者が商店街でお店を開けるような計画を建てていけたらいいなと思っています。僕が空き家や使われていない物件を購入して、ある程度手を入れてて住める状態にし、お店をやりたいという若者に対して負担のかからないような金額で貸すイメージです。

街の活性化には、拠点となるスポットを増やし、人の流れを作る必要がある。


取材は以上です!

「YUSHICAFE」は商店街の入り口にある空き家を活用した例。空き家の改修に街の人を巻き込むことで、街の人が愛着を持てるようなカフェが出来ました。空き家周辺の環境も、活用を考えるときに大切な要素ですよね。
県内に溢れる空き家活用のアイデア、お待ちしています!