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栗山木工有限会社

|文・写真・取材:地元カンパニー / 長野県出身

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屋根板製作にたずさわり100年。
木曽郡大桑村に本社を置く栗山木工有限会社は、森林資源が豊かな木曽地域でその木材を使い、重要文化財の屋根板をつくっている日本でも数少ない技術を継承する会社です。世界に誇る日本の屋根工法「こけら葺き」。その文化を支える「板へぎ」の技術を次の100年にもつないでいくため栗山木工が取り組んでいることや想いについて代表取締役の栗山弘忠さんにお伺いしました。


IMG_1783 (2) 栗山木工有限会社
代表取締役 栗山弘忠さん(4代目)
~全国各地の文化財や建物に携わり、先人から受継いだ「板へぎ」の技術の継承や技術を守っていくことについて 取組みやお考えをお聞かせください。~

― 「想い」を守っていく ―
栗山さん:伝統技術を守るというのはもちろん大切なことだと思っていますが、私達が守りたいのは、「想い」なんですよね。文化財や建物は昔の人達がずっと苦労して守ってきたもので、そこに携わった職人達の想いを守りたいというのもありますし、資源を与えてくれている森を大切にという想いもあります。また、この木曽地域で継承されてきた技術、それを守っていくという想いもあります。
重要文化財に携わっているから一生懸命やるっていうわけではないんですよね。私達のしている仕事が結果的に文化財に使われているっていうだけで、一般の住宅に使われても同じような想いでやりますし、特別な存在ではないんです。

技術としては1000年以上日本に伝わってきて、木を扱うとか草を扱うとか自然と対話をしながら発達した技術だと思います。木を使って屋根を施工するのは機械でもできるんですが、割り板の方が木材としては強いし、耐久性も高いんです。理に適った方法なんですよね。木材で屋根をつくろうと思ったら、割るしかない。「昔から当たり前にされてきたことを当たり前にずっと続けていく」、私自身もこの頃そんな風に考え方が変わってきましたね。大変ですけどね。

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― 日本は木の文化 -
栗山さん:現在、主に作っている板は二条城の東大手門の材料と、清水寺の本堂の舞台前の轟門という門の材料です。小さい規模の神社とかお寺などの仕事ももちろんあります。東京オリンピックに向けて、京都や各地の寺社の修繕も来年、再来年と増えていくでしょうね。そこにうちで作った屋根板が綺麗に葺かれていて輝いていたら嬉しいですね。

歴史的価値のある建物は信仰の対象でもあり日本人がどうやって木を扱ってきたかを示す貴重な資料でもあります。これだけ巧みに木材を扱ってきた民族って日本だけだと思うんですよね。ここまで繊細に、緻密に、美しく見せようとする感覚は海外でなかなか無いです。私達は木を扱う術を知っていて、それはきっと皆さんの体の中に流れているんでしょうね。ちょっと格好良く言うと「日本人を日本人たらしめるもの」ですよ。だから守らなきゃいけない。結果的にそういう考えになってくるんです。

私達が扱うのは天然の木曽サワラです。天然の木材はいずれは無くなります。でもうちは全部手作業なので 大きな木を1日1本つぶせないんです。機械を使うとあっという間に1日10本20本て使ってしまいます。茅葺(かやぶき)とか檜皮葺(ひわだぶき)とか杮葺(こけらぶき)っていうのは大量に生産して大量に消費する技術ではないので、森の歩みに合わせて仕事をしてきました。自然を守っているなんて偉そうなことは言えないですが、自然の営みに合わせて仕事を進めていかないと・・いずれ無くなってしまいますからね。

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― 後継者の育成 -
栗山さん:私が会社に入った頃は年配の職人ばかりで若いのは自分だけでした。父から引き継いで自分が会社をみるようになって、この技術をこれからも残していくために若い人にも積極的に来てもらいたいと思うようになりました。こけら板の注文も次第に増え、年配の職人が退職されていく中で仕事をこなせなくなる可能性が出てきたんです。自分もやってきて感じるのは、この「板へぎという仕事」、全体がわかるようになるには10年ぐらいかかるんです。ですから、今60才を超えている父達が現役バリバリの時に若い人が一緒になって働けるような、そういう期間をできるだけ多く持ちたいと思っています。

現在、地元の学生や子供たちの会社見学や就業体験の受け入れも積極的におこなっています。この地域にこういう技術があるっていうのを知ってもらいたいですし、子供達にはここに生まれてここに育つんであれば一度見て触っておいてもらいたいなっていうのがあります。学生には木曽の森林が文化財や、日本の文化を支えているっていうのを理解してもらいたいと考えています。

私もこの仕事初めて20年位になるんですが、木って1本1本違うんですよ。毎日手で触っていても毎日違う感触なんです。未だにわからないこともあります・・、だから向き合う、それをずっとやっていくうちに成長していける気がするんですよ。この仕事しているおかげで人として成長できたと感じています。それぐらい真剣に取り組むことができる仕事だと思うんですよね。
自分がこの仕事を通じて感じた事をこれから仕事を始めるとか、将来どうしようって思っている人達に、こんな方法もあるよって伝えたいなと思っています。会社見学を行う中で、すぐに人が来てくれて良かった良かったっていうわけではなくて、職人の採用が直接の目的ではなくて、こんな面白い世界もあるんだって感じてもらえればって思うんですよ。もちろん、やりたい!って来てくれたら嬉しいですけどね。

 

栗山木工で働く若手職人


IMG_1765 (3) 梅澤朋充さん (平成19年入社)
梅澤さん:ここに来る前に1年程 別の運送会社で働いていたのですが、その際に何度かここを訪れていて,何を作っているんだろうと気になっていました。そんな時、社長から若い人を探していると聞いて見学させてくださいとお願いしたのがきっかけです。職人が板へぎをされているのを見て、「こんなカッコイイ仕事があるんだ!」って思いました。すごい地味なんですけど、カッコイイと思ったんです。日本の文化財をつくる仕事に携われるということで入社を決めました。

この仕事の魅力は、とにかく追われる仕事なので自分が強くなれる、という点です。怒られたことはたくさんありますが、負けず嫌いで悔しいという思いで練習したり、続けてきました。今後の目標は、今、自分の下に若い職人たちがいるので 誰よりも早く、効率よく、周りもみれるようになりたいですね。

--栗山社長のすぐ下の右腕として、若い職人の育成も任されている梅澤さん。
「年配の職人と下の職人をうまく繋いで行ってもらいたい、すごく期待しています」 と栗山社長。「この仕事は一人前っていう終わりがないというか、屋根によって色々な部材があり、加工が高度になる・・難しいんです。だから入社10年でも、自分で覚えなきゃいけないこともたくさんあるし、下の職人も見ていかなきゃいけない。一番大変で一番成長できる時だと思います。
若い人には積極的に学んで自分で考えてすすめてほしいと思っています。今日、こうやって失敗したら、どうして失敗したのか考えて、次はこうやってみようって常に考えてやり方を変えていく。逆に、今日うまくできても、次の日はまた違う木ですから、うまくいかなかったりするんです。木に合わせて変えていかないといけないですから。そうやってどんどん自分で考えて進めていってほしいと思います。技術を身に付けるまで大変ですが、生涯をかけて取り組める貴重で誇りある仕事です。つらく厳しいことも多いので、やっぱりなかなか続かない方もいますが、梅澤みたいな負けず嫌いな方、大歓迎ですね!」

各地での実演や学生の受け入れなども精力的に行い、自らを「変わり者」と語る栗山社長。本当にこの仕事が好きで仕方なくて、この魅力を伝えたいという想いが笑顔で楽しそうな語り口からひしひしと伝わってきます。

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栗山木工有限会社

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勤務地: 長野県大桑村 | 中信
募集職種:職人 [ 新卒/中途 ]